嚥下ピラミッド
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監修・指導/金谷 節子(金谷栄養研究所 所長) 協力/栢下 淳(県立広島大学 教授)、江頭 文江(地域栄養ケアPEACH厚木 代表)
シリーズコラムインデックス
今、注目される抗酸化と活性課酸素消去・吸収能
嚥下食に、放射線防御食に「今、注目される抗酸化と活性酸素消去・吸収能」
浜松大学 健康プロデュース学部 金谷節子

■放射線被曝ダメージの原因と防御食の基礎知識
⑴ P53がん修復遺伝子の活性化が鍵
 放射線の生体へのダメージは、最も強烈な活性酸素である「✽OH」が「NF-KB」シグナルを増幅することによって起こります。これに対抗するには、「P53がん修復遺伝子」を活性化させることが重要で、食事療法における中心的な課題です。そして、この課題をクリアするためには、以下の2つの糸口があると考えられています。
 1つは、体内にある抗酸化物質、すなわちSODやカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの酵素をパワーアップする方法です。これらの酵素は加齢とともに生体での合成能力が低下し、生活習慣病をはじめとする多くの発症要因になるため、常に原材料に適した食物を摂取して生体内での合成を促進する必要があります。
 したがって上記の酵素をより多く含む、図1に示した食品をどのように食べるかが鍵となります。
 もう1つの方法は、クローブやシナモン、漆の実、もろこし、ココア等の活性酸素吸収能力の高い食品を有効利用することです。活性酸素吸収能については、USDAやNIAでORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity)として、μmolTE/gを基準単位とすることが示されており、自然界に存在する全ての動植物は活性酸素に対する防御術としてORACを保有しています。
 私たち人間は、それらの動植物を「食物」として毎日「口から食べる」ことで命をつなぎ、生き続けているのです。
 したがって、どんな食品にどれ位の量のORACが含まれているかを学び、上手に摂取していくことが大切になります。ORACをより多く含む食品を摂り続けることは、老化を抑制するとともに、糖尿病、脳梗塞、心疾患、がん、アレルギーなど、さまざまな疾患の予防や食事療法としても効果的です。
図1
放射線防御対策
⑵ P53がん修復遺伝子の活性化が鍵
 静岡県が実施した生活調査によると、私たちが摂取しているORACの量は、1日平均で約1,650μmolTEでした。それに対して私たちは、1食当たりで1,000μmolTE、すなわち1日3,000μmolTEのORACを摂取することを目標にしてきましたが、今回の原発事故による被曝を考慮して、現在は1食当たり3,000μmolTEへと目標値を引き上げることにしました。
 しかしながら、この目標値をクリアすることは決して困難なことではありません。たとえば私が監修した「今ある放射能を消す食事」(主婦と生活社発行)という書籍の中で紹介している「豆カレー(命のカレー)」だと、1人分100gで46,639μmolTE、「玄米ご飯」1杯分160gなら34,820μmolTE、さらにお好み焼きに米ぬかを加えることでも3,310μmolTE摂取することができます。
⑶ DNAダメージの低下に真空低温調理が貢献
 放射線の被曝によるDNAダメージの減少を図るうえで、食材の加熱調理方法も因果関係をもつことが、最近の私たちの研究で明らかになりました。たとえば、同じ牛肉をステーキにする場合も、従来から行われている高温での加熱調理よりも、58℃の低温加熱で調理する真空低温調理で作る方が、生体が受けるDNAダメージが低いのです。
 したがってこれまでは、活性酸素吸収能をより多くもつ食品の選択だけが関心事でしたが、調理法も重要なポイントであることが分かってきました。
 実は、私たちが嚥下食調理に真空低温調理の積極的な活用をお奨めする理由の1つが、このメリットに関係しているのです。
 ミラクルですね。
 次回は、「抗酸化作用の高い栄養素と食品」について、具体的にレポートします。

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