いま、なぜ嚥下食が必要なのか9.嚥下食の段階ごとの物性の基準

 摂食・嚥下障がい者のための食事の物性的な基準としては、1994年に当時の厚生省が設けた特別用途食品の中の高齢者用食品の基準「そしゃく困難者用食品の許可基準」「そしゃく・えん下困難者用食品の許可基準」があります。
また、2002年には日本介護食品協議会によってユニバーサルデザインフードが作成され、1〜4までの4つの区分にもとづいて食品の形状と物性の規格が提示されました。(表3-1参照)

表3-1 ユニバーサルデザインフードの区分と物性規格

表3-1 ユニバーサルデザインフードの区分と物性規格

 しかしながら上記の2つの基準とも、かたさにもとづく基準を主として分類されたものであり、まとまりがあってくっつきにくく、口腔・咽頭粘膜と食物の親和性に優れているなどの条件を満たす必要がある嚥下食の基準としては、十分とはいえないものです。

1)嚥下食ピラミッドのレベルごとの物性評価

 嚥下食の物性についての基準を示した資料としては、県立広島大学教授の栢下淳氏らが、聖隷三方原病院で提供されている食事の物性を、かたさ、凝集性(まとまりやすさ)、付着性(くっつきやすさ)の3つの項目について解析し、まとめたデータがあります。(表3-2参照)

表3-2 聖隷三方原病院の食事の物性解析結果

表3-2 聖隷三方原病院の食事の物性解析結果