「第7回嚥下食メニューコンテスト」決勝審査会を実施しました。

この度、「一般社団法人日本医療福祉セントラルキッチン協会」との共催により、「~地域の伝統食からオードブル・デザートまで~第7回『嚥下食メニューコンテスト』」を実施しました。

7回目となる今回は、1人あたりで複数メニューを応募される方が減少したことなどが影響し、応募作品数が64件と昨年を下回る結果となりましたが、内容的にはレベルの高い力作揃いとなり、金谷審査委員長による書類審査での評価点数を見ても、3部門とも僅かの点差の中に多数の作品がひしめく状態で、決勝審査に進出する6作品への絞り込みは、大変な難作業となりました。

決勝審査会は、2020年1月28日(火)「メディケアフーズ展2020」内のセミナー第5会場で実施。今回の会場は、昨年同様に通路に面した2面がオープンに開けた開放的な構造にしたことと、会場の入口が来場者の通路に直面していたこと等が功を奏し、決勝審査会のスタートから表彰式が終了するまで、嚥下食・介護食に興味をお持ちの多数のお客さまに観覧いただくことができました。

主催者代表挨拶

主催者代表挨拶

審査風景

審査風景

審査は、一般料理部門、デザート部門、行事食部門の順で決勝審査にノミネートされた各部門の2チームが、ステージにセットされたIHクッキングヒーターやスチームコンベクションオーブン、ブラストチラー、ミキサーなどを使って20分間の実演調理を行い、出来上がった料理を3名の審査員が試食・採点する方法で進められました。

まず初めに、一般料理部門の「寒鱈と白子フォアグラソースがけ 真子の寒天寄せ 岩のりソース」と「オイスターバブル~湘南の薫りにのせて~」の2チームに、特設ステージで順次調理いただきました。途中、調理作業をモニターで中継しながら、金谷氏から各チームの作品と決勝審査進出のポイントを解説。続いて各チームにメニュー開発の経緯や特徴、調理のポイント等のインタビューを行いました。

宮野鼻 治彦氏

医療法人徳洲会 庄内余目病院
北田 裕也氏

金谷 節子氏

「寒鱈と白子フォアグラソースがけ 真子の寒天寄せ 岩のりソース」

金谷 節子氏

社会福祉法人慶寿会 松林ケアセンター
宮城島 宏氏・上原 小百合氏

金谷 節子氏

「オイスターバブル~湘南の薫りにのせて~」

続いて、デザート部門にノミネートされた「ラズベリーのチーズケーキ」と「松江不昧公200年記念~嚥下食茶会~」の2チームによる調理審査が順次スタートしました。ホテルのスイーツビュッフェに出てくるような春にふさわしい美しい仕上がりのチーズケーキと、松江の秋の風物詩として有名で京都、金沢とならび日本三大茶会の一つ「松江大茶会」でのデザートをヒントに考案されたお団子・ロールケーキ・茶巾・抹茶の「嚥下食茶会」と題されたメニューの調理プレゼンは、きめ細やかな工夫と食べやすさへの配慮が多数盛り込まれた内容に、大きな可能性を感じました。

社会福祉法人青森社会福祉振興団 みちのく城ヶ沢フードセンター 田中秀尚氏・山本芽久美氏

ホシザキ阪神株式会社
岩田 梨花氏・長田 真佐実氏

「外海の夏!!ド・ロさまそうめん」

「ラズベリーのチーズケーキ」

松林ケアセンター宮城島 宏氏・平本 哲也氏

ひかわ医療生活協同組合
須田 真由美氏・土江 ツル子氏

「湘南ベジタブル★SOY麺」

「松江不昧公200年記念~嚥下食茶会~」

デザート部門の調理審査が終了すると、「サーモンのコンフィ~長岡Vegetable Style~」と「『秋月・夕照』近江八景と発酵を巡る」の2品による行事食部門の調理審査が行われました。フランス料理の技法を取入れた前者と伝統的な和食メニューの後者が、地元の食材・特産品をふんだんに取り入れた創作メニューを披露。これまで培ってきた経験と技術を惜しみなく披露し、見た目にも美しくアンチエイジングや栄養面にも配慮された画期的なメニュー紹介は、見応えのある調理対決となりました。

介護老人福祉施設サルビア高橋美佳氏・奥原初美氏

社会福祉法人長岡福祉協会 介護老人保健施設
サンプラザ長岡 水澤 慶太氏・北原 希氏

「天ぷらそば」

「サーモンのコンフィ~長岡Vegetable Style~」

社会医療法人清風会 日本原病院末田 佳奈子氏・中田 富美氏

地方独立行政法人 公立甲賀病院
福田 康宏・中井 美加氏

「シャインマスカットと清水白桃のシャルロット風~お誕生日に彩りを~」

「秋月・夕照」近江八景と発酵を巡る」

観覧者の皆さまは、各チームの発表する斬新かつハイレベルな嚥下食メニューが、ひとつ一つ丁寧に仕上げられていく様子を見守りながら、嚥下食とは思えない、見るからに美しくおいしそうな料理の数々に、驚きと賞賛の眼差しを向けておられました。

調理審査を終えた審査員の皆さまは、別室に移動してそれぞれの専門的立場からの評点を中心に協議を行い、グランプリ・部門大賞・優秀賞の選考に取り組まれ、書類審査での評価点と決勝審査会での内容を踏まえた総合的な観点から、最優秀グランプリを決定。続いて、各部門の部門大賞と優秀賞が選定されました。

審査時間を利用して、会場では聖隷福祉事業団聖隷横浜病院リハビリテーション課の言語聴覚士 前田広士氏による記念セミナー「嚥下調整食の使い方―現場で嚥下食をどう用いるか!?―」を実施。摂食・嚥下障害の特性から嚥下調整食の基準、嚥下食を用いるためのコツまで、言語聴覚士としての経験に基づいて、分かり易く解説・提言してくださいました。日本摂食・嚥下リハビリテーション学会の検討委員として「嚥下調整食学会分類2013」の策定に携わられた専門的な観点による実践的な講師のお話しに、聴講者の皆さまは、目を輝かせながら熱心に耳を傾けておられました。

記念セミナー風景

記念セミナー風景

前田 広士氏

前田 広士氏

最後に、審査結果発表と表彰式が行われ、最優秀グランプリに輝いた社会福祉法人慶寿会松林ケアセンターの宮城島宏氏を筆頭に、表彰状と賞金が手渡された後、片岡氏、柴本氏、金谷氏の順に講評が行われ、決勝審査会はつつがなく終了しました。

審査結果発表

審査結果発表

表彰状授与

表彰状授与

賞金授与

賞金授与

表彰楯授与

表彰楯授与

片岡護氏講評

片岡護氏講評

柴本勇氏講評

柴本勇氏講評

金谷節子氏講評

金谷節子氏講評

集合写真

集合写真

最優秀グランプリ特別養護老人ホームひかりの 様

最優秀グランプリ
松林ケアセンター 様

料理展示

料理展示

今回は、最優秀ブランプリを獲得した栄養価が豊富な牡蠣を題材としたメニューをはじめ、地域の食材や特産品を活用しながら、調理作業上の工夫や食べ手への配慮、保存性や再現性が考慮された多彩なメニューが軒を連ね、嚥下食の広がりと進化を実感できる貴重な機会となりました。

最後に、当コンテストに応募くださった多くの皆さま、運営をサポートしてくださったスタッフの方々、さらには協賛・協力・後援いただきました各企業さま等、関係各位に心から感謝を申し上げ、ご報告とさせていただきます。

最優秀グランプリ、部門大賞、優秀賞、奨励賞の結果リストはこちらをご覧ください。